藍晶石 kyanite Al2O(SiO4)  [戻る

三斜晶系 二軸性(−),2Vx=約80° α=1.712〜1.718 β=1.721〜1.723 γ=1.727〜1.734 γ-α=0.014〜0.021

形態:粒状・柱状。なお,周囲や割れ目からセリサイト化,ソーダ雲母化し,仮像になっている場合もある。

色・多色性:無色。少量のTiを含み淡青色のものもあり,それは無色〜淡青色の多色性を示す。

へき開:結晶の伸びに対し平行な2方向((1 0 0)と(0 1 0))のへき開が明瞭。その2方向のへき開は互いに約75°に交わる。

消光角:へき開線に対し斜消光し,(1 0 0)のへき開に対し数°,(0 1 0) のへき開に対し約30°の消光角を示す。

伸長:へき開や結晶の伸長に対し,正の場合も負の場合もある。

双晶:認められない。

累帯構造:時に無色と淡青色の部分が累帯構造をなす。

産状

主に泥岩起源の結晶片岩中の斑状変晶として見られ,白雲母・石英・十字石・黒雲母・アルマンディンなどと共生する。時に苦鉄質岩起源の結晶片岩(角閃石片岩)中にも灰れん石などに伴ない斑状変晶をなす。しばしば周囲や割れ目に沿ってセリサイト化・ソーダ雲母化し,結晶全体がその仮像になっていることもある。
まれにペグマタイトに石英,長石類に伴って産するが,この産出が高圧条件を示すかどうかははっきりせず,流体中のAl・Siの化学種により藍晶石が低圧条件で晶出した可能性もある



角閃石片岩中の藍晶石  Ky:藍晶石,Zo:灰れん石,Hb:普通角閃石,Pg:ソーダ雲母
海洋プレート中層部のはんれい岩が沈み込みで変成したと考えられる角閃石片岩中の藍晶石で,数mmに達する斑状変晶をなす。灰れん石に密接に伴うことから,もとのはんれい岩中の灰長石が分解して,藍晶石と灰れん石の共生体が生じたと考えられている。藍晶石はへき開が発達し,そのへき開線に対し,常に斜消光する。後退変成作用でこの藍晶石は部分的にソーダ雲母化している。

肉眼で見た藍晶石(青)を含む角閃石片岩(白は灰れん石,黒は普通角閃石)